強い。
あたしが梓を守らないといけないのに、あたしの方が守られてるし……。
あたし達は1階から4階まで駆けのぼり、屋上へ続くドアの前で立ち止まった。
夏休みの間は絶対カギがかかってると思ってたけど、梓がドアノブに手を掛けると、それはいとも簡単に開いた。
ギィっと、古くなった鉄の不快な音と共に、目の前が太陽に光りで眩しくなる。
明るさに慣れない目に直射日光が当たり、視界を真っ白くする。
手を前にかざし目を少しずつ慣らすと、そこに、黒い人影が見えた。
恐怖に体が固まる。
……なんで?
なんで、既にここに?
「遅いっすよ!もう、待ちくたびれました!」
可愛く頬を膨らませる、庵可くんの姿が……。


