梓の顔が青ざめてくる。
始末って言い方はおかしいかもしれないけど、だって本当にそうなんだ。
復讐をしたい相手が15人いるのに、まだ10人にしか出来ていないんだ。
その腹いせに、一番簡単に手を出せる相手を選ぶ可能性がある。
そう考えると、どう考えても梓しかいないんだもん。
「とにかく、考えてる暇はないからどこかにか逃げなきゃ」
またあたふたとし始めるあたしの手を、今度は梓が強く引っ張った。
「サラ!こっち!」
そう言って、階段を走って上る。
「とにかく外に出た方がよくない?」
梓はあたしを振り返ることなく、あたしの手を引きながら階段を駆け上る。
「グラウンドは他の生徒がたくさんいるし、校内だともっと危険だと思う」
はぁはぁはぁと、ふたり分の荒い息遣いが壁という壁に反射して響いた。
あたしは焦ると頭が真っ白になって体が震えてくるのに、梓の階段を駆け上る足はしっかりしていた。


