30分も前?


ってことは、もうすぐ到着するよね?


早くどこかに逃げなきゃ‼


あたしが急に消えたから、ルカ達は今必死になってあたしを探しているはずだ。


きっと、ここに来てくれる。


それまで、あたしが梓を守らなきゃ‼


「梓!ちょっと来て‼」


「え!? ちょ……」


あたしが強引に引っ張るから、梓の体が前のめりになる。


どこに逃げる?


学校の中で逃げれる場所なんてたかが知れてる。


出来るだけ人目につくところに行きたいけど、今は夏休みだ。


ただでさえ人が少ないって言うのに……。


グラウンドに部活動をしている生徒はいるけど、もし、あたし達がグラウンドに逃げて、他の生徒まで傷つけることになったらどうする?


それだけはダメだ。


絶対に避けなきゃ。


あたしが目的地もなくバタバタ走りまわっていると、あたしに手を引かれる梓が無理矢理体を止めた。


あたしは勢いよく振り返る。