あたしは、梓と殆ど会話することなく、カリカリとシャーペンを動かした。
梓も、あたしが必死にやってきた数学をうつしている。
休憩なしにずっと手を動かしていると、腱鞘炎になりそうでとても辛くなった。
だけど、終わるまでは絶対に手を止めない。
「……終わった」
あたしはシャーペンを乱暴に机に放り投げ、グーッと背もたれに体を預け伸びをする。
ずっと同じ体勢で書いていた体が、ガチガチに固まっていて痛い。
「すごい集中力だったね」
梓がクスクス笑いながら、首をグルっと回す。
「もうしばらくシャーペン持ちたくない」
あたしが言うと、梓も笑いながら「あたしも」と言った。
「やっぱ、図書室でやってよかったね。クーラーきいてたからイライラせずに集中できたよ」
「これでもう何も心配することなく魔界に行けるね」
梓の言葉に、あたしはうんと頷く。


