「手っ取り早く復讐をするのなら、魔界にいた方が出来るだろう。なのに、何故、わざわざ遠い人間界に出るのか」
確かに……。
人間に興味があったとしても、復讐を完全に終わらせてから出ればいいのに……。
なぜ、その前に人間界になんか……。
「でもまぁ、それは確かではないからな」
フランさんは、あたしが紙を発見した本を手にして眺める。
「我々が考えたのは、もし仮に人間界に出ているのなら、ここに残ったヘンリーとやり取りをする為の通路が必要だと言うことだ」
……通路?
フランさんを見て、目をパチパチさせる。
「図書室は、限られた者しか入室出来ないようになっている。最も人目につかない安全な場所だ」
あたしはフランさんにコクンと頷く。
「ヘンリーと何者かが、この本で繋がっているとしたら?」
フランさんは本をみんなに見せる。
「手紙を、ワープさせるんだ」
ワープ……?


