「サラ。この部屋には簡単に入ることはできない。ヘンリーが太陽と月の力を利用して入室したんだとしても、そのほかの人物も同じく力を利用できるとは限らないだろ?」
……まぁ、確かに。
でも、その仲間なら、あり得ない話じゃないんじゃ……。
あたしが眉を寄せながら考えていると、ルカはフランさんと目を見合わせ、コクンと頷いた。
「サラ。昨日、新しく入った情報がある」
「新しく入った情報……?」
ルカの話しはこうだ。
地下の牢獄に収容されていた可能性のある悪魔を調べていったところ、そこにヘンリーの名前があったらしい。
目の前で、両親を亡くしていると。
その他に、もうひとり、当時ヘンリーと同い歳の悪魔も収容されていたらしいんだ。
ふたりとも、当時10歳。
お互いに家族を殺され、自分も酷い仕打ちをされてきた。
王族に対する憎しみは測りきれないものだろう。
今回起こっていることは、ヘンリーとそのもうひとりの悪魔ではないかと的を絞ったみたい。
だけど、肝心のもうひとりの悪魔の現在に消息が不明。
魔界をくまなく調べたけど、何もわからなかったんだって。
そして、夏季休暇中のヘンリーの姿も、未だ見つかっていない……。


