そう言って、あたしは紙が挟まれていた本を手にとってフランさんに渡す。


「この本です」


あたしが言うと、ヘイリとルカはお互い目を見合わせた。


「小さな物音がしたあと、あたしは何かに導かれるようにしてここに来ました。そして、こんなにたくさん本が並べられている本から、何故か最初にこの本を手に取ったんです」


「そしたら……」と言葉を続けると、フランさんが細かく頷いた。


「この本から何か感じるか?」


フランさんがヘイリとルカに聞く。


だけどふたりは、ただ静かに首を横に振った。


「やはり、その時が来ないと力は分からぬか」


フランさんの真剣な声がかすれる。


「でもフランさん」


フランさんは眉を上げてあたしを見る。


「この本にはただ紙が挟まれていただけです。だから別にこの本に何か力があるかどうかは関係ないんじゃないですか?」


あたしが言うと、ルカがあたしの隣に来てため息のように息をはいた。