「許可なく図書室に入ろうとしても、本来ならばドアノブに触れた瞬間はじかれるはずなのです」


シキが言うと、フランさん、ヘイリ、ルカは3人で目を見合わせた。


「これも、太陽と月の力か……」


フランさんが静かに言うと、ふたりがコクリと頷いた。


「ヘンリーは今どこにいる」


フランさんがシキに聞く。


「申し訳ございません。まさかヘンリーが関係していると思わなかったので、今、夏季休暇を取らせています」


シキが深く頭を下げる。


フランさんは大きく息を吐き、頭を振る。


「大変申し訳ございません。勝手な判断をしてしまいました」


更に深く頭を下げるシキ。


「良い、シキ。おまえは何も悪くない」


ルカがシキに言う。


「実際、俺達もヘンリーについてはノーマークだった」


ルカもため息をつき、項垂れる。


「まさか、新人執事が関わっていたとは……」


ルカが、テーブルに手をつく。


「とにかく、今すぐにヘンリーをマークするのだ。ヘンリーはどこで休暇を取っている?」


フランさんが少し早口で言う。