「牢獄では常に脱出方法を考えていたはずだ。恐怖の中、身を震わせ憎悪に満ちる中で、その力を集める能力を手に入れたのかもしれない」
「…………」
「今より当時は人間界に興味を持っている悪魔は少なかったから、調べればすぐにわかるだろうと思っていのだが、奴隷として収容された悪魔があまりにも多くて困難なのだ」
フランさんが項垂れた。
ああ……。
そうか……。
あの牢獄の中で、ずっと恐怖と戦っていたんだよね?
そして目の前で家族が酷い仕打ちをされ、挙句の果てには殺されて……。
憎しみしかなかったんだ……。
敵をうつ為に手に入れた能力。
それを今使って、恨みを果たしているってこと……?
「重要な手掛かりが、ないのだ」
今まで立っていたフランさんは、力尽きたように椅子に腰を下ろした。
重要な手掛かり……。
重要な……。


