あたしは梓に中に入ってと言い、みんなが走っていく方向へ足を速めた。
一体、どうして!?
どうして急に死人なんか……。
真っ直ぐ続く廊下を走り右に曲がると、その先にメイドさんや執事の人だかりが出来ていた。
メイドさん達は口元に手を当て、酷く驚いている。
「ちょ、ちょっとすみません」
人だかりをかき分けると、あたしが来たとわかったメイドさん達がサッと道を作ってくれた。
人だかりの先頭まで行くと……。
フランさん、ルカ、ヘイリ、シキ、セドリックが部屋を調べていた。
そして、赤いじゅうたんの上に白い布で覆われた死体が横たわっている。
白い布からは肘から下の腕が出ていて、それは紫色に変色している。
あたしはハッと息を飲むと、ルカやフランさん達が勢いよく振り返った。
「サラ‼」
ルカが慌ててあたしに近づいてくる。
だけど、あたしは死体から目を離せず、体が小刻みに震えてきた。


