あたしは急いでメイドさんのあとについて行こうとした。
その前に……。
「梓はここにいて」
ドアから一緒に廊下を覗いた梓に言う。
「で、でも……」
梓は今にも泣き出しそうな表情だ。
「危険かもしれないから、庵可くんとここにいて。絶対部屋から出ないでね」
「でもそしたら、サラだって危険じゃん‼」
「あたしは大丈夫。ルカがいるし、それに」
あたしは言葉を区切って、胸に下がるネックレスと右指の指輪を見る。
「これがあるし、あたしは大丈夫」
そう言って、不安そうな梓に笑みを向ける。
まだ何か言いたげな梓だったけど、あたしが眉を上げて微笑み続けると、渋々頷いた。
「あ、あの!すみません」
あたしは、廊下の向こうから走ってきたメイドさんを2人捕まえる。
「あの、中のふたりのことが心配なので、ここでふたりを守っていてもらえませんか?」
あたしが言うと、メイドさんはふたりで目を見合わせ、「かしこまりました」と頷いくれた。


