「サラ。少し話をしよう。壁側に寄るんだ」
そう言ってルカはあたしの腕を引いて壁側に寄った。
フランさんは、まだパーティの準備があるからと、打ち合わせに戻って行った。
「ルカ。急にどうしたの?他の人に聞かれたくないならどこか別の部屋に移動したら?」
「いや、ここの方が良い。あまり静かな場所だと余計聞かれてしまう恐れがあるから」
そう言って、ルカは無表情のまま、目だけで辺りを見回す。
そんなに聞かれてはいけないことなの……?
「サラ。日食の件はシキから話は聞いているであろう?」
ルカの声がより小さく真剣になる。
あたしは、ゴクリとつばを飲み込んで頷く。
シキは、何者かが動き出そうとしてるって言ってた。
「ここ数日、日食で結界が緩んだり奇妙なことが連続で起こったりしている」
「……奇妙なこと?」
あの日、結界が緩む以外に、何かあったの?
あたしが聞くと、ルカは一層真剣な表情になった。
「城の執事やメイドが次々と行方を消しているのだ」
……え?
一瞬寒気がして、鳥肌がたった。
行方を消してる……って……どういうこと?


