「それはよかった」
フランさんが安堵のため息をつく。
「いや実はね、サラさんが人間界に帰ったとルカに報告を受けた後、私達は必死にこの城を変えたんだ。城だけじゃない、魔界全てを」
……魔界全てを?
「サラさん、あなたのおかげで、ルカを初めヘイリの心が大きく変わり、私達家族がようやくひとつになることが出来たんだ」
あたしは微笑んで、肩を丸めて小さくなる。
「あんなに人間を批判していたヘイリが、サラさんの温かい心に触れて、どれだけ人間が素晴らしいものがわかったらしい」
「…………」
「雪国のように冷たく凍っていたこの城の雰囲気を、どうにか温かみのある雰囲気にしたいと、ヘイリが私達に言ってきたのだよ」
……うそ。
ヘイリが……?
不思議だけど、そう思ってくれたなら、ちょっと嬉しい。
「だから私自身も直接関わりたくて、多くの執事やメイド達の反対を押し切ってこうやって現場に出るようにしたんだ」


