シキの言葉に、梓が楽しみと不安がない交ぜになった複雑な表情をしながらあたしを見た。


あたしはそんな梓の背中をさすり、大丈夫というように微笑む。


前にあたしが魔界に行った時は本当に酷い目にしか合わなかったけれど、今はヘイリとルカが分かり合い良い国になっていると思うから、心配はいらない。


もし何かあったら、あたしが責任を持って守るから。


ルカにもらったネックレスも指輪もある。


ずっと一緒にいるから。


心の中で思いながら梓を見ると、梓は理解してくれたように表情を和らげた。


あたしはてっきり魔界に行く方法は、前みたいに地下へと続く階段を下りていくのかと思ったけど、今回は違ったんだ。


魔界へ行くのにまず向かったのは、図書室だった。


図書室のドアを開けると、梓と庵可くんはあんぐり口を開けて天井まで続く本棚を見上げて目を丸めていた。


「……なに、ここ。すご……」


あまりに上を見上げすぎて、梓がバランスを崩してあたしの腕を掴む。