どうしてこの図書室は涼しいんだろう。
真夏だって言うのに、学校の図書館の蒸し暑さとは全く違った。
この変な涼しさが、不気味さをかき立てる。
あまりに静かで足が震えてきた。
人の気配はない。
物音は、ヘンリーではないようだ。
この前ヘンリーが掃除をしていた本棚にたどり着き、足をとめる。
キーンと、耳鳴りのように空気が鳴いている。
……なに?
すごく……気味が悪い。
どんどん生気を吸い取られてるような気がする。
この感覚……前に魔界へ続く階段を見つけた時と同じだ。
あの時も、空気が吸い込まれるようにゴーっと鳴いてた。
それに比べたら小さな音だけれど……不気味なことに違いはない。
一歩、また一歩と足を進めるごとに、キーンという高い音が強くなる。
目眩に似た感覚に陥り、目がかすむ。
頭を軽く振って焦点を合わせると、何故かある場所で足がピタリと止まった。


