「まんがいち?ねぇ、どういうこと?今、何が起こってるの?」


「…………」


シキが口を紡ぐ。


「あたし、たまに変な予感がすることがあるんだけど。何かが起こりそうな……。あたしのこの予感、合ってたりしないよね?」


あたしが身を乗り出すと、シキは深く息を吐いた。


「まだ、ルカ様の許可が下りておりませんので詳しい事はお話しが出来ないのですが、これから、ルカ様は魔界へ行かれることが多くなると思います」


「どうして?」


「すみません、それ以上のことは、まだ……」


シキが背筋を伸ばしたまま頭を下げた。


「そのうち、サラ様にも魔界へ行っていただくことになるかもしれません。一応心の準備はしておいて下さい」


「心の、準備……?」


シキの不安そうな瞳が、あたしに向く。


「サラ様は魔界でとても辛いご経験をされたではありませんか。またその場所へ行かなければならないなんて、私はとても心が痛むのです」