そういう人が図書室を利用するのはわかるけど、庵可くんってなると、不思議で仕方ない。
あたしは図書室の中で見失ってしまって庵可くんを、静かに探す。
本棚と本棚の間を覗い行き、同時に置いてある本にも目を向ける。
そう言えば、ルカの屋敷にも大きな図書室があるけど、チヅルさんに会って以来ずっと行ってないな。
あたしも少しは本を読んで色々勉強しなきゃだよね?
ルカの屋敷の本なら、魔界についての物がたくさんありそうだし、今度行ってみようかな。
いつの間にか、庵可くんを探すことよりも本に集中してしまい、案外本を読むのも楽しいかもしれないと思っていた、その時……。
「サラさん見っけ!!」
「きゃっ!!」
突然後ろから抱きつかれ、あたしは思わず大声をあげてしまった。
慌てて口を手で押さえ、目だけをキョロキョロ動かす。
幸い本棚の間にいたので、机で勉強中の生徒達とは目が合わなかった。
安堵のため息をついて、後ろから抱きついてきた庵可くんを振り返る。


