無理矢理ルカに腕を引き上げられ、体を傾かせながら立ち上がる。
でもしっかり、クッキーはひとつ手に握ったんだ。
「あたしのクッキー……」
ルカに引きずられながら、テーブルの上のクッキーを求めるように手を伸ばす。
「サラ様。また明日お出ししますよ」
シキが爽やかに微笑みながら、あたしとルカが部屋を出るまで頭を下げていた。
「いきなりなんなの?」
あたしはルカと廊下を歩きながらさっき握ったクッキーをパクリと一口。
それを見て、ルカは呆れたように息を深くはいた。
「全く。王族に入ろう者が、歩きながらクッキーとは」
眉を寄せあたしを見下ろすルカ。
あたしはゴクリとクッキーを飲みこんで、肩をすくめて歩いた。
“王族に入ろう者“
そうだよね。
ルカとこれからも一緒にいるってことは、あたしは王族に入ることになるんだよね。
いくら世継ぎがヘイリだからって、ルカも王子だ。
それなりのマナーを身につけないといけないんだよね。


