「そうなの?」
「はい。こちらに屋敷を構えてから一度もそのようなことはありませんでした」
何故でしょう。と、シキは顎に手を当て首を傾げる。
「シキ。まだはっきりしたことではないのだからベラベラ話すな」
今まで静かに会話を聞いていたルカが、紅茶のカップをテーブルに置きながら不機嫌な声を出した。
「申し訳ありません」
シキは口を閉じ、頭を下げる。
「魔界でも、今回のことは議題になっている。兄上と共に原因を探るから、おまえらは何も心配をするな」
ため息交じりに言ったルカは、席を立ちあたしを見下ろした。
「サラ」
「え?なに?」
シキの用意してくれたおいしそうなクッキーを食べようと手を伸ばしながら、ルカを見上げる。
「ちょっと来い」
「え?やだちょっと待ってよ。まだクッキー食べてない!!」
「いつでも食べられるであろう。いいから来い」
「ちょ!! うわっ!!」


