その店



ふと
感じたのは息苦しさ

産まれたての赤ん坊でさえ、上手に呼吸できるのに

私は肺を押しつぶされたような
圧迫感に身悶える。

ありったけの息を吐き出した後、ほんの一筋の隙間から入る空気にしがみつき、肺を広げる。

その一筋が
徐々に徐々に
光のように広がり

私はやっと目を開ける。

目に映るのはモノクロの世界。

ぼんやりとしたグレー

濁っている。

耳に残るはポンプ音

振り返ると

沢山のまなざし

うつろな まなざし。

私は水槽の中にいた

私は


魚になっていた。