代償?
返事のない私に言葉が降る。
「視覚・嗅覚・聴覚・味覚・片手・片足・指の全て・舌……しかし、お前の希望が呪いではなく死ならば」
死ならば?
「両手、もしくは両足」
ざらついた声が感情も無く言う。
私は自分の身体を抱え込む
骨ばかりの身体を抱え込む。
殴られて
私の耳は片方聞こえない。
歯も残り半分。
片目の眼球は壊れている。
片足は曲がらない
片手は折れている。
ガラクタだらけのこの身体
差し出す価値もない身体
だから
この命
捨てるに等しいものならば
「主人を殺してもらえるのなら、不揃いの身体と命を……私の全てを差し上げます」
人物の前に膝を曲げ
深く頭を下げ
木の床を見つめる
血の匂いが
止まらない。



