「消えろ」
私の上から退き、またお酒に手をつける。
その場から逃げるように部屋に入った。
家の中でどんだけ騒いだってどんだけ助けてって合図だしたって
家の前を通る人は聞こえないふり。
誰も警察に電話してくれないんだ。
私を助けてくれる人は誰もいない。
そんなある日、私の目には“リスカ”という文字が写った。
リスカ……。私がリスカしたら、誰か気づいてくれる?
興味本意、気づいてほしいだけ。
化粧ポーチからハサミを取りだしそれを手首に押しつけスッ、と切った。
そこから滲む赤い血。
「弱虫……」
痛みなんて感じない。だって深くまでハサミを入れられないんだもん。
少し傷がつくくらい。痕が残らないくらい。
誰かに“助けて”って。私のSOSに気づいてほしいだけなの。
「うぅ……っクッ……グス」
泣いても泣いても涙が枯れることはない。
誰か、気づいて。助けて。
疲れたのか、その日はスゥッと意識が飛んだ。

