「遥、大丈夫?」 ポケットからハンカチを取りだし、顔を吹いてあげる。 「ちょっと楓!後ちょっとで当たるとこだったじゃねぇか!」 「わざと当てないであげたんだから感謝してくれる?」 さやかの方は見ずに答える。 「ねぇ、雑巾投げられて楽しくないよね?私もさやかも」 「たりめぇだろ!誰があたしに投げろっつった!」 「他の子に投げろともいわれてないし」 私はさやかの方を向き、正面に立つ。 「なんでかなぁ?誰一人として楽しそうな子いないんだけど?」 周りの子を見ると、皆口を固く結んでいた。