「とりあえず、帰ろ」




彼方の言葉に、私たちは再び歩き出す。




……ん?



てことは、彼方と沙奈は両想いじゃん……。


じゃあ航は……どうなるんだろう?




ゆっくりと顔をあげる。



目の前に映るのは、航ではなく彼方の大きな背中。



……彼方のうしろ姿は、初めて見た気がする。




そんなことを思いながら、私は明日が〝金曜日〟であることを忘れて、彼方の一歩うしろを歩いてた。