「おーい、未歩ー!早くしろよー!」


「待って!今行くー!」



幼馴染が急かすもんだから、私は一息落ち着くこともできずに、制服に袖を通しながら階段を駆け下りる。



するとそこには、私のお母さんと航のお母さんと一緒に食卓について優雅にお茶してる航がいた。



「おせーよ」


「仕方ないでしょ!昨日、緊張して眠れなかったんだから!」



ていうか、航もちょっとは急ぎなよ!


未だにカバンの中にハンカチやティッシュを詰め込みながら、呑気な幼馴染に心の中で文句を言った。




今日は私達にとって、とても大切な日。



なのに私はというと、いつもと変わらず朝からドタバタとうるさい日常を迎えてしまっていた。


こんな予定じゃなかったのにー!




「本当に早いものね〜。あなた達が卒業なんて」


「お母さん達も、式の時間になったら行くからね〜」



お互いの母親も、ほのぼのと会話をしながらのんびりと過ごしていらっしゃる。



子供達の卒業よりも、こうやって集まって話すのが楽しみなだけなんじゃないかな。



まぁ、それはいつものことか。




それよりも、早く行かなきゃ。



なんたって今日は……私達の卒業の日。