「未歩がいいなら、俺は、いいけど……」



しどろもどろな彼方に、私はすぐに「じゃあ決まり!」と言う。


だけど彼方は、まだ納得いかないよう。




「でも、こんなところで書きにくくない?」



「それは大丈夫。むしろ、彼方に小説のこと相談したいかも!……って、それこそ迷惑かな?」



「いや、全然。むしろそっちの方が俺的に嬉しいかも」



彼方は嬉しそうに笑った。



俺的に嬉しいって、どういうことなんだろう?



彼方にとって、都合のいいことなのかな?



よくわかんないけど、そんなのはどうでもいいや。これで彼方のそばにいれる。



小説も書ける。




「じゃあ明日から、原稿持ってくるね」



「うん。俺も楽しみにしてる」



さっきの泣きそうな表情とは、打って変わって笑顔の彼方。



私はひとつ、気づいたことがあった。