頭の奥がぼんやりとする。 真っ白な世界の中。 息をするだけで、精一杯。 握り締めた手は、爪が食い込んでいた。 噛み締めた唇は、血の味がした。 『生きている』から。 大きな声が聴こえた。 少しずつ視界が開けてきた。 その顔を見て、私は泣いた。 おかえり、湊。 そして、初めまして。 まだ名前のないいとしいぬくもりを、そっと抱き締めた。 圭都に良く似た男の子。