坂下の外泊許可が出た日、病院まで迎えに行った。



駅で待ち合わせることになっていたけど、待ちきれなかったから…。



白のショートコートに千鳥格子のミニスカート、膝上まであるブーツ…とモノトーンでまとめてみる。



少しは大人っぽく、見えるかな?



ホントはヒールの高い靴履きたかったけど、坂下と並んで歩けなくなりそうだから断念した。



ロビーのソファーに座って待っていると、メガネを外して前髪をおろした坂下が現れた。



ロビーにいる見舞い客や看護師たちみんなが注目してるんじゃないかっていうくらい、カッコイイ。



昔、梨香が蒼と初デートしたときに釣り合わないって嘆いていたけど、それと状況一緒かも…。



「わざわざ、ここまで迎えに来てくださったのですね。」



ぼうっとしていた私は、坂下の声が耳に入っていなかったようだ。



「アンジェ?」



頬に手を添えられ、ぼうっとしていたことに気が付いた。



「あ、ごめん…。」



「どうか、しましたか?」



言い訳しようか迷ったけど、正直に言うことにした。



「見とれて…ました。」



坂下はそれを聞くと、少し照れくさそうにしていた。



「参りましょうか。」



坂下が手を差し出してくれたので、その手を取って立ち上がる。



「まぁ、映画みたいねぇ…。」



近くにいたオバサンの呟きが坂下の耳に入ったみたいで、恥ずかしくなったのか、私が立ち上がるとすぐにその手を引っ込めてしまった。



オバサンが余計なこと言わなければ、手を取ったまま見つめ合ったり、手を繋いだまま歩いたりできたんじゃないの?



オバサンの…バカーッ!



なんて、思ったり…。