「……言わなきゃわかんないの、会長?俺が返して欲しいもの。あんたの後ろにいる子だけど」
ん?
会長って……腹黒王子のことだよね。
その後ろにいるのって……辺りを見回してみるけど、この部屋にいるのは学園長と腹黒王子と私といきなり入ってきた子だけだ。
「……私の後ろにいる子じゃ、わからないですよ?私の後ろに10人いたらどの子かわからないですしね」
いや、10人もいないから。
「会長、馬鹿なんだね。じゃあ、あんたの後ろで頭キョロキョロしてる子返して欲しいんだけど」
「全員、キョロキョロしてるのでわからないです」
「……そこの茶髪返して」
「茶髪の子多いんですよね」
「…………」
「ん、どうしましたか?」
なんだろ……高校生とは思えないこの会話。
そろそろ、もう誰だか私わかってきたんですけど出てもいい?
「……会長、めんどくさいよ。はぁ、芹那ちゃん返してくれない?」
うん、だろうね。
てか、なんで私探してんのこの人?
「あぁ、芹那さんですね。芹那さん、杜川くんがお迎えに来ましたよ」
首を後ろに回して私を見る腹黒王子の顔はすごく清々しいほどの笑みを浮かべていた。
そんなに、青弄るの面白かったんだ。

