――タッタッタッタッタ……。
よく走るな……だんだん足音が近くなってる気がするけど、どこ向かってるんだろ?
「芹那さん大人しく、ね?」
「……は?」
何故か、腹黒王子が私の前に来て私の前に立つ。
――でかくて、前見えなくて邪魔なんだけど。
私の視界は今、腹黒王子の背中しか見えていない。
マジで、邪魔。
――バンッ!
「……っ!?」
足音が止まると学園長室のドアがいきなり開く。
壊れるんじゃないかって思うほどの勢いで。
「……ダメじゃないですか、入る時はノックしないと」
何かを楽しそうに弄るような腹黒王子の声。
誰が来たわけ?見えない……。
「……ねぇ、ここにいるんでしょ?返して」
なんだろ、この声聞いたことある……。
高すぎず低すぎずの心地良い声。
でも、何か怒っているのか少し怖い。
「主語がないですよ。何が此処に居るんですか?何を返して欲しいんですか?」
うん、絶対この腹黒王子楽しんでる。
弄られてる人可哀想だな……。

