「ん、なんですか?杜川くんじゃなくて私とがいいんですか?私は、別に構わ……」
「なわけないから。こんな恥ずかしいこと毎朝やるなんて有り得ない」
やっぱ、此処は普通じゃないんだよ。
帰りたい……。
「でも、キスをしないと学園内に入れませんよ?それに、みんなやっていますし」
え、何そのルール。
キスをしないと学園に入れないって……。脅しでしょ。
「…………」
腹黒王子が指した場所に目を向けて私は、すぐに後悔をした。
そう、見たところには何組もの男女がすごく密着をしながら先生たちの前で堂々とキスをしていた。
「……言ったでしょう。みんなやってるって。それより、早く行きますよ」
この学園の人は全員おかしい……。
教師も教師でしょ。
考え事をしている私なんか気にも留めずに腹黒王子はスラッとした長く細い足で学園内をずんずんと進んでいく。
この学園……土足なんだね。
なんかもう、考えるのすら疲れて来たよ。
腹黒王子の大きな歩幅に合わせて歩くと私は、少し小走りになっていた。
は、速い……。
「……ぶっ!!!」
足元ばっかり見て歩いていたせいか目の前で腹黒王子が止まったことに気づかずそのまま腹黒王子の背中に顔をぶつけた。
「……あぁ、芹那さん大丈夫ですか?学園長室に着きましたよ」
ついちゃったんだ……こんな変な学園の偉い人の部屋に。
正直会いたくないよ。
――トントンッ。
「……はい……?」
部屋の中から若い女の人の声が聞こえてくる。
え、若くない?
「学園長、琉宇です。転校生の城崎 芹那さんをお連れ致しました」
「あら、琉宇?入りなさい」
その声が聞こえると同時に目の前の大きな扉がいきなり鍵を取るような大きな音が聞こえると同時に何もしてないのにいきなり開き出した。
いや、金の無駄遣いし過ぎでしょ。

