「そろそろ、学園に着きますからね」
そんなこと言われても前なんか女の子の頭以外ほぼなんにも見えないけどね。
それより、なんでこの先輩はこんなにも爽やかなんだろ。
こんなうるさい中でもこんな歩きにくい中でも王子スマイルを絶やさないし。
「芹那さん、まず学園長の所に行きますからね」
あぁ、こんな変な学園を作った人に会いに行くのか……実際、会いたくないし、帰りたい。
「じゃあ、降ろして下さい」
驚くほど近くにある王子先輩の顔を見ると何を考えてるのかさっぱりわからない笑みを浮かべて、私の言葉はこの先輩の耳には届かないのか歩みを一切止めようとしなくて、私を降ろそうともしてくれなかった。
絶対面白がってる……。
「睨んでも、可愛いだけですよ芹那さん」
「……こんの、腹黒王子……」
「そんなこと言われたの初めてですよ」
こうゆうことだけは聞こえるのね。
調子の良い耳をお持ちで。
睨もうと考えたけど、この腹黒王子には何をしても無意味だと言うことがわかったから諦めて視線を前の道に目を向けていると腹黒王子の聞いたことない程の大きな声が聞こえてきた。
「姫たち、急用の為急いでいるので学園への道を開けて下さいますか?」
う、うるさい。
近くで強制的に聞かなきゃいけない私の身にもなってほしい。
「「「はい、王子!!!!!」」」
もういい加減、鼓膜が破れそう……。
王子先輩……いや、腹黒王子がそう言うと女の子たちは鼓膜が破れそうなほどの奇声を上げると目の前にいた女の子たちの群れが一瞬にしてサイドによる。
すごいな……。腹黒王子が言っただけで一本道が出来ちゃったし。

