私に伸びてきていた青の手が私を掴む前に、私の体は誰かさんの手によってまた宙に浮かんでいた。
誰かなんて言わなくてもわかると思うけど……。
「掴まれるなら服よりも首に手を回された方が私は嬉しいんですけどね」
「降ろして下さい、琉宇先輩!」
掴む位置なんかどうでもいいよ。
これって、恥ずかしいのと同時にすごく怖いんだからっっ!!
それでも、王子先輩のスマイルは変わらず……。
「会長、俺のパートナーにセクハラすんのやめてよ」
「セクハラ?これはセクハラとは違いますよ。エスコートと言って欲しいですね」
「その手はどう見てもセクハラでしょ。女の子の太腿触っちゃってさ~」
「これは、不可抗力ですよ。この手がないと芹那さん落ちちゃいますし」
「いや、降ろせばいいんですよ。琉宇先輩」
「……わかりましたか、杜川くん」
あれ、無視?
あからさま聞こえてたよね?この距離で聞こえない方がおかしいし。
「全然わかんないし」
なんなの、この人達……。どんだけ仲悪いの?
私を挟んで対峙するように睨み……微笑み合っている青と王子先輩。
いやいや、王子先輩と微笑み合ってるなら助けてよ、青。

