「……はぁはぁはぁ……やっと、ついた……」
「はぁはぁ……疲れたね……」
大きな玉から逃れられたと思うと次はオカマが桃也を追い掛けてきてそれから逃げて……と色々乗り越えてやっと目的地についた。
「てか、な、なんもないよ?」
「やられたな……」
言われた場所に着いたものの何もなかった。
あのクソ腹黒王子め……。
「……帰る?」
「そうだね、憂のことも心配だし。もう少し体力回復したら帰ろ……」
そう、走り回って疲れたわたし達は木に寄りかかるように座っていて今すぐに帰る雰囲気ではなかった。
「それにしても……フフっ。桃也モテモテだったね」
「嬉しくないな、それは……モテるのは憂にだけでいいよ」
桃也を見た瞬間にオカマたちの目が変わり途中からは本気で桃也を追い掛けていたのを思い出して笑うと桃也は苦笑いしていた。
「ねぇ、気になってたんだけどなんで桃也は憂がそんなに好きなの?やっぱ可愛いから?」
「可愛いからだけじゃないか……憂?」
「……え?」
「憂の声がする……泣いてる」
「……これ、機械通してる?」
耳を澄ましていると桃也の言った通り憂の声がだんだん大きくなっていた。
なに、どういうこと?
青といるんじゃ……。
「青は!?」
「わかんない……憂……」
「桃也、行って!憂心配でしょ?多分、機械使えるとこにいるだろうし。私なら平気だから」
「機械……放送室。ごめん、芹那……待ってて必ず戻ってくる」
「大丈夫、自分で戻れるよ」

