「ねぇ、なんで始まんないの?」
「あそこで何してんだろうね?喧嘩?」
「青様にいつまでもお姫様だっこされてんじゃないわよっ!」
「羨ましい……」
「早くしてよねー」
誰かの言葉のせいで痺れを切らした他の生徒達も騒ぎ出して会場は様々な声が響きわたっていた。
あぁ……もう、やだな。
恥ずかしいよ……てか、私なんも悪くないのになんでこんなことに……普通の生活に戻りたいよ。
目頭が熱くなり恥ずかしいけど泣きそうになった。
「うるさいんだけど」
「うるさいよ?」
「うっさいわ!黙って見てろや!」
「うるさいですよ?」
「「「…………。」」」
騒ぎ出した会場で響いた四人の男の声。
青、桃也、豹、琉宇先輩の声で騒いだいた人が黙る。
「芹那と青、見せつけてやれや!」
「芹那頑張れ……」
「憂の睡眠妨害して……憂起こしてごめんな?あ、憂に悪い影響与えない程度にね?」
「……も、桃ちゃん?あ、芹那ちゃん……が、頑張ってねっ!」
「芹那さん泣かせたら奪っちゃいますよ、杜川くん?」
静まり返った中みんなに応援された。
豹の見せつけてやれはちょっと……だけど豹らしいか。
桃也は憂のためだったんだろうな……ホントに憂のこと好きだな。
出そうになった涙はいつの間にか引っ込んでいた。
「大丈夫、周りの声なんか気にしなくても。それに会長に芹那ちゃん奪われる予定もないから安心していいよ」
顔を上げると青は笑ってそんなことを言った。
奪われるって……。
「それより、言われっぱなしでいいの?ハニー」
いたずらっ子みたいな顔をした青にそう聞かれた。
青は人の動かし方ホントに上手いな……。
「良くないに決まってるじゃん、ダーリン」
うまく闘争心に火を付けられてしまった。

