恋愛学園






「葉山さん、お疲れ様です。次は、杜川くんと佐藤く……じゃなくて桃子さんですね。桃子さんの準備はできたみたいですよ」




桃子って……桃也のことだよね。
憂には見せない方が桃也も嬉しいよね?





「憂……お疲れ様。疲れたでしょ?しばらく休みな?」





いままで、誰も使ってないけど近くに用意されてた長椅子に座り憂を膝に乗せて後頭部に手を当てて私の胸の方に顔がいくようにする。
これで見えないでしょ。





「……あり……が、と……」





緊張のしすぎか精神疲労のせいかすぐにウトウトする憂。
ちょうど良かったのかな……?






「……う、うわ……」





会場がザワザワし出して女装した桃也が出てきたんだとおもって顔を上げると青に負けを劣らずな女に化けた桃也がいた。
街中歩いてたら普通に女の子って間違えられそう……。






私に抱かれて眠っている憂を見てホッとしたように胸を撫で下ろす桃也。
やっぱり、憂に見られたくなかったんだ。






「本当に女性みたいですよ、佐藤くん。葉山さん寝ていて残念でしたね?では、杜川くんと食べさせあいっこ2回目頑張ってくださいね?」





「……すぐ終わらせますから」






嫌味な腹黒王子に一言そう言って青の方に歩き出す。
青も桃也の女装に少し驚いたような顔をしていた。






「……桃也に見えない……」






「青の時には負けるよ」






そんな二人の会話はギャラリーで喚いている男の声で聞こえなかった。
憂起きないかな……。
そう思っていると桃也がヒールの音を一回だけ響かせる。





その一瞬静まり、皆が桃也に目を向ける。
そして、一言……。







「うるさい」