「ほんと、杜川くんは面白いですね」
こんなに青弄り楽しんでるのってこの人だけだと思う。
頭の上から聞こえてくる声はすごく楽しそうだった。
「琉宇先輩、離してくれませんか?」
お腹の辺りにある手にはガッチリ力が入っていて逃げられなかった。
「ダメですよ……杜川くんのこのあとの反動を期待しているんですから」
頬に柔らかな髪の感触がしたと思えば耳元で聞こえてくる腹黒王子の声。
ち、近い……。
「……馬鹿なこと言ってないで早く離れてくださいよ」
「八王子先輩、邪魔です」
「原田さん、今日も麗しいですね」
さ、さすが柊花……邪魔って言ったよ……。
腹黒王子を押し退けようとしたら聞こえてきた柊花の声。
そしてそれに振り返り笑顔で返事する腹黒王子。
「会長、アカンで!!柊花は俺のやからな!!」
「わかってますよ、長谷川くん」
「なら、会長。今はその子俺のパートナーなんで放してくれますよね?」
豹のうるさい声の後に聞こえてきた静かな桃也の声。
この二人、ニコニコしてて怖い……。
「本当に佐藤くんは読めませんね。杜川くんや長谷川くんみたいにわかり易かったら面白いんですけどね」
「……あっ」
腹黒王子の手がお腹から離れた隙に桃也の隣に行くと豹が張り付いたままの柊花が私の隣に来た。
「そんなに威圧しなくても今はもう何もしませんよ」
今は……?
「……う、憂……お願いだからこっち見てよ……」

