「……嫌だと言ったら?」
「は!?」
お腹の所で回されている手に力が入りさっきより密着する私と腹黒王子の体。
これは……近すぎるって……。
顔赤くなってそう……。
「……嫌がらないんだ」
青が小さな声でボソッと呟く。
「憂とも桃也ともやらないから。俺、弁当3個全部芹那ちゃんに食べさせてもらうから」
「……は、いっ……!?」
そして、いつの間にか腹黒王子の腕の中から青の腕の中へと私のいる場所が変わっていた。
あ、青……苦しいよ……。
「あ、青……くるし……」
「……あ、ごめん」
無意識だったのか腕の力を緩めてくれる青。
けど、離してはくれなかった。
自覚したばっかでこの距離は辛い。
ドキドキして胸が落ち着かないし、頬は熱いし。
青の仄かに香る香水の匂いがさらに私をドキドキさせた。
けど、それ以上に青の腕の中で安心してる私がいた。
とりあえず、青に顔見られてなくて良かった……。
青の胸板に顔を当てて隠す。
だから、青がどんな顔してるか私もわかんない。
「杜川くん、言いましたね?」
「うん、言った」

