「……芹那?」
「なんや、喧嘩か?」
柊花と豹の声なんか耳に入ってなかった。
だって……あれって私……。
憂に嫉妬してたんだ…………。
私、青が好き……なの?
そう考えた瞬間顔から火が出そうなくらい恥ずかしくて俯いてしまった。
だから、青が悲しそうな顔してたなんて知らなかった。
桃也と憂に向けられていた視線がいつの間にか私と青に向いていて場はシーンと静まっていた。
「ほらほら、杜川くんと葉山さんの番ですよ。杜川くん準備してください、葉山さんも」
「……」
腹黒王子の声で目の前にいるであろう青の足音が遠ざかる音がした。
その代わりに小さな柔らかい手が私の頭を撫でる。
「……芹那、大丈夫……?」
「柊花…… 」
「なんや、お前と青も喧嘩しとったんか?青のあんな顔初めて見たで?」
青のあんな顔……?
「あんな顔って……!?」
顔を上げると柊花と豹が驚いた顔をする。
「お前……顔真っ赤や……ってぇ!?」
豹が何かを言おうとした瞬間に柊花の手が豹の顔目掛け飛んできた。

