「うん、おいしいよ……ハニー」




「……そ、ソウデスカ……」




この人さ、恥ずかしくないのかな……?
顔から火が出そうなくらい恥ずかしいんですけど。
あぁ、羞恥というものがないのかな……この学園に居過ぎて。





ニコニコ笑顔のまま二重箱のお弁当を食べていく桃也。
もう、早くなくなれ……。
桃也がパクパクとお弁当を食べてくれるお陰か二重箱はあと少しになっていた。
私の精神も羞恥のせいで削られて少しになっていた。



「……うわー、ダーリンすごい食べっぷり。これで最後だね、はいあーん……」





「ハニーの弁当が美味しいからだね……あーん」





最後に残っていたミートボールを桃也の口の中に突っ込む。
私の棒読みなセリフに桃也は苦笑していた。





「芹那さん、お疲れ様です。次は佐藤くん、杜川くんですからね」





腹黒王子の声を聞いて桃也の上からすぐに降りる。
次の組み合わせの時に聞こえてくる様々な悲鳴と豹の馬鹿でかい笑い声。




「ほら、杜川 青子さん出番ですよ?」





杜川……青、子……?
会長の声で皆の視線はさっきまで青がいた場所に向く。
けど、そこには青はいなかった。






「……会長、コロス……絶対」




「…………え?」





青の声がしたほうを見ると……青ではなく綺麗な女の人がいた。
あれ、青……どこ?






「……ほら、青子さん?皆が待っていますよ」





綺麗な女の人の方を見て"青子"と呼ぶ腹黒王子。
あの人……青子さんなんだ………………待って、あれ青だよね……。






茶色の長い髪に女子の制服を着ている青。
なんで……?