腹黒王子から離れたがらない伽恋さんの耳元で腹黒王子が何かを囁くと伽恋さんはすぐに腹黒王子から離れた。
伽恋さんが離れたのを確認してから一人座れるくらいのあれに座る腹黒王子。




「では、始めますよ。杜川くん、しっかり見ていてくださいね。伽恋」




自分で早くしろと言ったくせに全然見る気の無い青。
ホントに自由人だよね……。




腹黒王子に名前を呼ばれた伽恋さんは、私たちが持ってるお弁当箱と同じものを持って腹黒王子の所まで行く。




「ダーリン、お弁当箱をお持ち致しました。食べて頂けますか?」




「勿論ですよ、ハニー。ハニーのその可愛らしい手で食べさせてくれるなら食べますよ」




伽恋さんの手からお弁当箱を取って伽恋さんの手にキスをする。
伽恋さんの表情はみるみるうちに真っ赤になっていた。
そんな伽恋さんに微笑み、自分の膝に伽恋さんを横向きで座らせて伽恋さんの腰に手を回す腹黒王子。





「勿論ですわ、ダーリン」




なんで、この人たち"ダーリン"と"ハニー"呼びなの?
恥ずかしくないわけ?
見てるこっちが恥ずかしいんですけど。




青に目を向けるとあからさまにドン引きをしているのがわかった。




伽恋さんは自分の腰に回っていない手でお弁当箱を持ってる腹黒王子からお弁当箱を取り戻してお弁当箱の中に入ってるミートボールをお箸で取り出す。
腹黒王子のリクエストを聞いたのかは知らないけど……。
それをやけに色気が漂う腹黒王子の口元まで持って行ってとまる手。




そして、口を開かない腹黒王子……。
嫌な予感がする……。




「……はい、あーん」



伽恋さんがそう言うと口を開く腹黒王子。
そして、ミートボールを腹黒王子の口の中に入れる伽恋さん。




「ダーリン、おいしい?」



「おいしいですよ、ハニー」




やだ、やりたくないんだけど……。
こんなのを将来やるつもりもないし、やりたくないし。
将来の役に絶対立たないし!





「どうですか、わかりましたか?」





わたし達を見る腹黒王子。
絶対、楽しんでる……この人。




「呼び名はさっき同様に統一しますから。ダーリンとハニー以外で呼んだらお弁当箱が増えますからね。お弁当箱の中身が無くなるまでやってもらいますからね?」