「そんなことないよ。芹那は平均より軽い方だと思うよ」
平均よりって……何の平均だろ?
喜んでいいのかな、これは。
てか、これって全員やってるんだよね……。
私たちだけってことはないだろうし。
青と憂も……。
そう考えるとまた、胸に小さな痛みが走る。
「……巻き込んで、ごめんね……」
「……え?」
そんなことを考えていたら桃也のすごく申し訳なさそうな声。
もうなってしまったことなんだから気にしなくてもいいのに……優しいな、桃也は。
「平気だよ、桃也。青と離れられてすっごく嬉しいし!!」
「……あ」
私がそれを言い終わるか言い終わらないかのところで桃也がやばい物を見てしまったかのように声を出す。
なんだろ?
てか……悪寒がする……。
「……へぇ、芹那ちゃんは俺と離れられて嬉しいんだ」
「……げっ……」
目隠しのせいで見えなくてもわかる……この声は、青だ。
しかも、"芹那ちゃん"なんて青しか呼ばないし……。
てか青がいるってことは、憂がいるってことで……。
私は目隠しのせいで見えないけど、桃也は普通に視界が良好なわけで。
なんか……修羅場を傍観してる気分だよ。
「青と葉山さん。今日は、どんな問題が出るか楽しみだね」
"葉山"呼びの時点でまだ桃也も怒ってるってのがわかった。
長引きそうだな……この喧嘩。
それに、問題ってなんだろ?
「芹那ちゃんに何かしたら怒るよ、俺が」
そして何故か私が青の物みたいなセリフを吐く青。
しかも、なんで声が怒ってんの……?
「何かしないといけないのがこの授業なんだから、その要求は無理だよ青」
なんだろ憂VS桃也のはずなのに……桃也VS青みたいなこの感じ。
見えないけど、二人の間で火花が散ってる気がする……。
「ねぇ、俺……憂のせいでこの授業クリア出来そうにないんだけど早くどうにかしてよ、桃也」

