「コレハナンデスカ?」
真っ暗な視界の中で多分桃也がいるであろう場所を向いて問う。
「……えっ、授業だけど?」
いや、そんなことは知ってるし……そこを聞いたんじゃないって!
「しかも……なんか、体が浮いてる気がするよ……私」
「持ち上げてるからね」
なんかもう体が浮く浮遊感に驚かなくなったし、抵抗もしなくなった私はこの学園の変な病に侵されてる気がする……。
慣れって……怖いね。
真っ暗な視界の中、どこに向かってるのかは知らないけど足音を聞いてわかるどこかに向かってることが。
なんで、目隠しされてんだろ?
いつも香る青の匂いではない匂いがするところにすら違和感を感じる。
これは……憂の好きな香りなのかな?
桃也からは微かに石鹸のいい匂いがしてくる。
というか……いつも憂を持ち上げてる桃也からしたら私って重いんじゃ……。
「……ごめん、重いよね?」
そう聞くと微かに桃也が笑ったのがわかった。
なんか……笑われるようなこと聞いたかな?

