恋愛学園







「城崎さん……?」



「……えっ、あ……何?」




意識を隣に戻すと心配そうな顔をして私の顔を覗き込んでいる佐藤くんがいた。




「胸おさえてるから、気分悪い?大丈夫?」



佐藤くんに言われて自分の胸に目を向けると無意識のうちに手がその場所に来ていた。
うわ……気付かなかった。




「……な、なんでもないよ。てかそれより、芹那でいいよ?」




「そっか、じゃあオレも桃也でいいよ」




「うん、桃也……わかった」




モヤモヤした胸の中の物を誤魔化すように笑みを浮かべてそう言う。
きっと、青だったら……。





青だったら……何だといいたかったんだろ、私は。




「…………」




そして気付けば目はまた青と憂の後ろ姿に向いていた。
今日の私、なんか……おかしい。
なんか、疲れてんのかな?





「それでは、みなさん。今日もしっかりと愛を深めましょう」





朝の一発がやっぱり意味のわからない言葉から始まる。
愛を深めるって……なんだよ。
それに、憂大丈夫かな……?




「それでは、パートナーをいつも通りにいつもの部屋に連れて来て下さいね」




「「「「はい」」」」





先生がそう言うと男子生徒の声が教室中を響きわたる。
いつもの部屋にいつもの部屋に連れて来て下さいね?
なに、それ。





「芹那は、初めてだよね……この授業は。初めては青とが良かったかもしれないけど……我慢してね?」




視界に映るのは苦笑いを浮かべている桃也の顔。
"初めて"、"我慢"って……いまから何するの?
桃也の顔を見たまま固まっていたら桃也の手が私の顔に伸びてきて気が付けば視界が真っ暗になっていた。
目の辺りを何かで覆われているのがわかった。





「ごめんね、芹那」