「ほら、城崎さん」
「芹那ちゃん!!」
佐藤くんに手を引かれて席に座らせられた瞬間に青の声が聞こえてくる。
もう、巻き込まれたものはどう仕様もないよね。
なるようになってもらうしか。
とりあえず、私が青に言わなきゃいけない事ってこれしかないと思うんだよね。
「……青」
「芹那ちゃん?」
何の期待を込めてるのかは知らない視線を私に送ってくる青。
私は、青みたいに人の心は読めないから……アイコンタクトされても伝わらないや。
「憂にケガとかさせたり、泣かせたら許さないから」
「……え?」
変な顔をして変な声を出している青。
どんな言葉を想像してたのか逆に聞きたいね。
青から目を逸らして青の近くで涙目の憂に視線を向けて微笑んでこう言う。
"大丈夫"
だと。
何が、大丈夫なのかは自分でもわからないけど。
憂はそれに気付くとぎこちないけど小さく微笑みを返してくれた。
「杜川・葉山ペア、早く座らないと罰ゲームですよ?」
そして、先生の言葉が憂の微笑むを一瞬にして壊してしまう。
「……憂、とりあえず座ろ」
先生の声を聞いた青が少し焦ったように憂に同意を求める。
青と憂が罰ゲーム……。
なんだろ、何かモヤモヤする。
「……う、うん……」
憂の同意を得ると青はいつも私と青が座ってる席に憂を座らせてその隣に座る。
なんだろ……モヤモヤが増えていくこの感じ。
佐藤くんと憂がいつも座ってる席は私と青がいつも座ってる席の斜め後ろでちょうど私たちには青と憂の後ろ姿が見える。
二人の後ろ姿を見てるだけでモヤモヤが増えていく。
このモヤモヤは……何?

