「……憂?」
校舎内に入って憂に目を向けると何故か顔を真っ赤にしている憂がいた。
なんで……?
「……芹那ちゃんが……男の子に見えた……」
「ん?あぁ、前の学校ではこんな感じだったよ?髪が短いからそう見えただけだよ」
すごく驚いたような顔をしたままの憂が可愛くて頭を撫でていた。
入り口に目を向けると先生たちの前で困ったような顔をしている青に口ぱくで
"バーカ、ざまぁみろ"
って言うと舌を出してあっかんべーをすると青は額に手を当てて困り果てた顔をしていた。
「早く行こ。てか、教室の席って……?」
「教室は、男女じゃないとダメだよ……」
男女ってことは……必然的に憂と佐藤くんは顔を合わせるってことか。
憂はそれでいいのかな?
「佐藤くんの隣に座れる?」
「今は……ももちゃんの顔を見たくない……」
だよね。
これは……憂が相当怒ってる気がする。
まぁ……そうだよね。
でも、席どうしよ……。
ペアを変えるとか……?
青に苦手意識がある憂に耐えられるのかな?
まず、私が耐えられるのかな?
「芹那ちゃん……お願い、落ち着くまでペア変わって………………ほしいの」
うん、あんまり変わりたくないんだろうね……。
間が長かったよ、憂。
憂が平気な男子は佐藤くんだけだもんね。
「私はいいけど……憂、大丈夫?」
憂からパートナー変えてって言うお願いが来るとは思わなかったから少し驚いてるけど。
「……長谷川くんよりは、大丈夫だと思う……」
あぁ、憂の中では青<豹ってことか。
よかったね……青。
うーん、良かったのかな?まぁ、豹よりはマシらしいし。
そして、私と憂は気付いた時にはもうエレベーターに乗っていて私が憂に壁どんをするという変な構図が完成していた。
憂をお姫様抱っこして階段上がるでも良かったんだけど、視線が気になる気がしてやめた。
そして、なんでか知らないけどやっぱり顔を真っ赤にする憂。

