『ダメ……。ここからは、見ないで。ここにいたらダメだよ。はやく……めをさまして』




そうさっきの男の子の声が聞こえると同時に目の前が真っ暗になる。
女の子は――。




「…………っ!?」



目を開くと寮の白い天井が映っていた。
あれ……私、さっき公園にいたのに……。
さっきのは……夢だったんだ、良かった。




「……ん?」



私、卵まみれだった気がしたんだけど……なんでパジャマ着てんの?
てか、なんか重くて……起き上がれない。



「……んっ……」



私じゃない声が聞こえて隣に顔を向けるとなんで同じベッドにいるのかわからない人がそこでスヤスヤと気持ち良さそうに寝ていた。



「……あ、あ、あ、青っ!!」



目を閉じて無防備な寝顔をして寝息を立てている青。
しかも、何故か青の腕が私の体に巻き付いていた。
だから、起きれなかったんだ……。




「……んっ……芹那ちゃ、ん……おはよう……」




眠そうに目を擦りながら言ってくる。
こいつ、殴ってもいいのかな……ねぇ?
おはようじゃねぇーよ。



「……ねぇ、離して。起きれないんだけど」



「芹那ちゃん、なんか変な夢でも見た?顔色悪いよ。それに、汗かいてる」




人の話聞かないね、この人は。
そして……相変わらず鋭すぎて怖いわ。




「あんたが抱きついてて暑かっただけ!!早く離して」




「……ホントに?」




しつこい!!
青の腕を退かしてベッドから降りる。




「……思い出した訳じゃないなら良かった……」




「……え?」




青が何かをボソッと呟いたから後ろを振り返るとすごく一瞬だけど、すごく悲しそうな表情を見せた。




「あっ、やばいね。急がないと遅刻しちゃうよ、芹那ちゃん」



「……え、はっ!?」




表情は一転して焦ってるように見えないいつもの笑みを浮かべる。
遅刻したら……絶対、また変な罰ゲームあるんだ絶対やだ。




「青!!早く着替えて!!」




青を寝室から追い出して急いで制服に着替える。
あれ……綺麗になってる。
卵は?