「憂の声がする……」
「いや、しないけど?」
何言ってんの……こいつ?
憂が近くにいたら絶対男の集団が追いかけてるはずだし。
あんなに可愛いんだから!!
もし、ホントに聞こえてたら耳良すぎでしょ。
「……あっちだ。桃也を助けに行かなきゃ」
何言ってんの、マジで。
憂の声が聞こえたら普通助けるのは憂じゃないのかな?
そう言う青は勝手に方向転換をして憂の声がするという場所に向かって走り出していた。
まぁ、本当に憂がいるんなら……行っても無駄にならないか。
卵まみれの私たちが憂たちを助けるってなんか変だけど……。
「助けに行くけど、良いよね……芹那ちゃん?」
「いいよ。憂いなかったら、怒るから」
私がそう返答すると前を向いて走っていた青の顔が一瞬私の方を見て微かに……微笑んだように見えた。
さっきまでもすごく速かったけど、更にスピードアップしていた。
着いていくのが……しんどい。
そして、卵まみれのせいか靴が普段より滑りやすくなってて怖い。
卵まみれの青はいつもよりもエロいらしくて、私を狙って卵を投げていた女の子たちが失神したり、鼻血を出して倒れていたり。
ホントに、この男なんなの?

