青の声が聞こえて青の手が私の頭のところにきた瞬間に何かがぶつかって潰れる音が聞こえてきた。
え……何?何か飛んできたけど……。
青の手に当たったとわかった瞬間に四方八方から鼓膜が破れそうなほどの女子の悲鳴が聞こえた。
「なにこれ……卵だ」
卵って……なんで?
鬼ごっこだよね、これ。
自分の手に当たったものを確認してる青がそこにいて、疑問しか浮かんでこなかった。
「会長が言ってたでしょ?"女は女を、男は男を"って」
腹黒王子が言ってたこと?
青が、略し過ぎてて全然わかんないけど……あれのことかな?
女は女を、男は男をって。
「俺たちSクラスの男を狙ってる女たちは、俺たちのパートナーである女を狙ってくるし、Sクラスの女を狙ってる男たちは、パートナーである男を狙ってくる。どんな手を使ってくるかはわかんないけどね」
あぁ、私を狙って投げたはずの卵が青に当たってそれで悲鳴が聞こえてきたわけだ。
どんな手を使ってくるかわかんないなんて、危なすぎない??
「だから、怪我しないようにって?」
「そうだよ。それに、これはSクラスの能力テストだよ。学園長曰く、"愛の力でどんな障害も乗り越えるのよ"って」
いやいやいや、おかしいって。
何が、"愛の力でどんな障害も乗り越えるのよ"だよ。
限度があるわ!
怪我人続出でしょ……これ。
「まぁ、飛んでくるのは卵と柔らかいボールくらいだし。あとは、大玉も転がってたかも、去年。あとは、足元に気をつけてれば大丈夫だよ」
いや、大丈夫じゃない気がする。
てか、卵で汚れた床は誰が掃除するのか知りたい……。
走ってても四方八方から投げられる卵。
「ねぇ、青……ん?」
卵をよけながら走ってるときにいきなり青がキョロキョロと辺りを見渡し出した。

