けど、今までは私だけが夏野君と話していたような状態だったから、何となく寂しい気分もするんだ。
……何だろ? 凄く大事にしてた物を、急に誰かに取り上げられたような感じに似ている?
自分でも、何か幼稚すぎるような気分で、思わず突っ込みたくなるんだけど。


「それは恋だね」

「香苗ちゃん、恋しちゃったんだね」


ボーッと考えてたら頭上から女性の声が降ってきたから顔を上げてみると、ハルと舞子がニヤニヤと笑いながら、私の目の前に立っていた。
さっきまで話してた筈の夏野君は既に席に居なくて、教室中を見渡しても見つからなかった。


「……ハル、舞子。何で私が考えてた事に突っ込んできたの?」

「いや、それはねぇ。香苗の思考くらい、いつも一緒なウチらにはバレバレでしょ」

「ってか、香苗の口から、思ってる事がボソボソとダダ漏れだったよ」

「げっ」


こんな幼稚な考えが、まさか私の口からダダ漏れだったとは!
恥ずかしい! 恥ずかしすぎる!!
ってか、恋バナとかが苦手な、この私が! 本当に照れくさい。


「勘弁して下さい…」

「勘弁も何も、香苗の口から勝手に漏れてたんだって」





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